事例・技術情報

2024.04.25

検査機器の原理

金属検出機の原理

#金属検出機

金属検出機とは

当社の金属検出機は、1955年にドイツ(当時は西ドイツ)の会社と技術提携をしたときから始まります。 この当時は、設備の保護や爆発の防止などが目的の大半でした。 


そののち、1980年代に入ると、食品工業が発展し、異物混入防止など品質管理を主目的とした方向に要求が拡大し、1995年のPL法施行以後は、益々その需要が高まり、食品製造業を中心として製造・流通工程などへと広がって行きました。 


現在では食品だけでなく、化学、薬品、繊維、縫製、物流、製造など、様々な分野の原料及び製品中に混入した金属性異物を、非破壊・非接触で検出する代表的な装置となっております。 

金属検出機(ND-860型搭載モデル)


金属検出機とは

各種生産ライン中の製品に混入した金属異物を磁界の乱れを利用して検知する機械となります。



磁界とは磁石でひきつけあったり、反発しあう力を磁力といい、その磁力のはたらく場所のことです。

金属検出機の検出原理(交流磁界)

図1 金属検出機の構成

金属検出機は、
  ・コントロールユニット(図1 右)
  ・サーチコイル(図1 左)
で構成されております。

コントロールユニットからサーチコイルに高周波電流(i)を流し高周波磁界を発生させて、2つの受信コイルが同量の磁束を受け磁束のバランスが保たれる状態をつくります。


バランスが保たれている磁界(図2 左)の中に金属異物が入ると、磁性金属の場合、直接磁界を乱して、2つの受信コイルが受ける磁束が変化し、バランスが崩れます(図2 中)。この磁界の微小な乱れを電気的にとらえ、コントロールユニット内にて増幅、金属検出信号を出力します。非磁性金属の場合、直接磁界を乱すのではなく、非磁性金属のなかに渦電流が発生し、二次的に磁界を乱すことで、受信コイルが受ける磁束のバランスが崩れます(図2 右)。 

図2 金属検出機(分離型) 磁界のイメージ

一般的に磁性金属と非磁性金属では磁束量の変化に差があり、非磁性金属の方が磁界を乱す量が少ないため、検出感度が低下します。

  磁性金属 非磁性金属
種  類 鉄、ニッケル、コバルト など 銀、銅、アルミニウム、SUS など
特  性 磁石に引っ付く 磁石に引っ付かない

金属検出機の検出原理(直流磁界)

基本的な構成は図1と同様になります。

直流磁界型では高周波電流を流す代わりに永久磁石を使用しています。

受信コイルが受ける磁束の変化を読み取ることは交流磁界と同等になりますが、直流磁界のため、非鉄金属の
感度が低くなるため、アルミ箔包装や縫製用装飾品の鉄系金属異物に採用されています。

直流磁界型には着磁部(永久磁石)と受信コイルを分けて配置する磁化式金属検出機も含まれます。


製品の影響

金属異物だけでなく、製品や原料も金属検出機は発生させている磁界に影響を与えます。
製品がコイル内を通過することで磁界の中を通過した際、非磁性体として渦電流を発生させることで、二次的に磁界に影響を与えます。

図3 製品影響が発生する仕組み

磁界に影響を与える要因として、導電率(例:水分、塩分など)、大きさ、通過断面、温度などが上げられます。

製品の性状 影響
 電気の流しやすさ  低水分、低塩分  
 高水分、高塩分  
 製品の大きさ  小さいもの  
 大きいもの  
 塊の大きさ  分離している物(バラバラのもの)  
 塊上のもの(粉が固まったなど)  
 温度  温度が低い  
 温度が高い    

金属異物の方向性(針金状の異物)

金属製の束子(たわし)や笊(ざる)など、針金状の形状については、通過時の方向性により検出感度に影響が発生します。また、磁性金属(Fe系)、非磁性金属(SUS系)で検出しやすい方向に差があります。


金属検出機のバリエーション展開

弊社には、検出したい異物、被検査対象物に併せた様々なバリエーションの金属検出機をご用意しております。

被検査物の大きさ、影響、御要望感度など、用途に合わせた機種を選定することで高感度な検査を実施し、被検査物の安心・安全に貢献して参ります。
カタログ、ホームページの機種紹介をご覧になり、疑問・お問合せ等ございましたら、お気軽に近くの営業所にお電話頂きますようお願い申し上げます。